さて、今さら感はありますが、2016年末に問題となった某キュレーションメディアについての私の別メディアで2年以上も前に投稿した記事を加筆修正したものをご紹介します。
インターネットは情報の渦、混沌とした世界
ここ数年のインターネットプラットフォームの多様化により、インターネットの世界は非常に混沌とした状況とも言えます。
例えば、数年前には、インフルエンサーと言われる著名人を使ったステマ(ステルスマーケティング)や、広告表記のないタイアップ記事広告などが問題になったこともありました。
ステルスマーケティング(Stealth Marketing)とは?
ステマとは「ステルスマーケティング」の略語で、企業から金銭を受け取っているにも関わらず、あくまで中立的な立場を装い良い口コミや良い評価を行う行為です。
いわゆる「ヤラセ行為」「サクラ行為」と呼ばれるものです。出典:webマーケティングに強くなるメディアferett
「ステマとは?絶対にやってはいけない理由3つ+事例3選
2015年4月30日
インターネットによる情報発信によるメディアの自由化、民主化とその闇
昨今のインターネットメディアの急拡大により、企業主体ではなく、個々人が表現の手段として自分のコンテンツを簡単に世に出せる時代になったのは、メディアの自由化、民主化といった観点では素晴らしいことです。
しかし、その一方で、信頼性の極めて低い薄っぺらな記事を大量に流通させることにより、そのアクセスを広告収入に変えて、大きな利益を得るといったやり方が横行するのは非常に問題だといえますね(怒)。
個人が情報発信できる時代になったことは良いことですが、そのコンテンツに価値がないとインターネットの大海原にごみを投げ入れているのと同じになってしまうからです。
ただの自分向けの日記レベルで書くようなブログであれば、価値うんぬんは関係ないかもしれませんが…
そこにビジネスが紐づく場合においては、やはりそこにアクセスしてきた人が、読者が本当によかったと思えるような(価値のある)情報でなければまったく意味がありません。
今回は、その中でもここ数年急激に増えているいわゆる「まとめサイト」キュレーションメディアに問題が起こりました。
キュレーションメディアとは?

そもそも、キュレーションメディアとは、インターネットの情報の渦の中から、自分の代わりに必要な情報をキュレーターといわれる人たちが、わかりやすくピックアップしてくれるというものです。
キュレーションメディアとは?
「キュレーション」は美術館や博物館の「キュレーター」から 派生した言葉で、キュレーションメディアとは「特定の切り口でインターネット上にある情報を選定し、公開するメディア」のこと です。
出典:Ferret(webマーケティングに強くなるメディア)
キュレーションメディアとは?基本の解説とカテゴリ別まとめ
2016年12月6日
これにより、ネットユーザー自身が本当に欲しい情報にたどり着けないといった問題を解消するために、ユーザーに変わり事前に情報検索したものをまとめてくれるキュレーターの存在が重宝されるようになりました。
資本力を武器に経済合理性のみの追求でやりたい放題の大手企業の罪
しかし、今回の騒動は、大企業の論理のみが優先され、資本力のある上場会社がキュレーションメディアを多数買収し、倫理感もなく儲け重視でユーザーを無視した信頼性の極めて低い記事を量産していました。
そして、著作権違反等でサイト自体ほぼ閉鎖に追い込まれるといった事態にまで発展したのです。
キュレーター独自の視点ではなく、広告誘導目的に周到なコピペマニュアルを渡し、クラウドソーシングや、学生アルバイトなどの安価な労働力を大量に投入し、記事を量産していました。
そして、アウトプットの出し方まで詳細に指示した上で…
ゴミ記事でも上位表示することができた
また、著作権や記事の信憑性もおおいに問題ですが、注目すべきもうひとつの問題としては、量産された信頼性の低い内容記事がGoogleに上位表示されたことです。
Googleは、大量の信頼性の薄い記事をきちんとインデックスし、上位表示させてしまったのです。
プロの巧みな裏技のオンパレード
某社のキュレーションサイトは、Googleが定めたルールに忠実にのっとり、たくみなプロの技術を駆使したオペレーション体制をとっていました。
そして、広告の占める割合を少なくするために、記事を膨大な文字数でごまかしたり、専門性と独自性を打ち出しているように見せかけるといった巧みな裏技のオンパレード。
実際には内容が極めて薄く質の低いコンテンツでも上位にインデックスさせる方法を研究し、意図的にそれをやっていたわけです。
SEOのプロを多数雇い、悪質極まりない行為です。
【PR】企業組織のヒエラルキー(階層構造)が、元々優秀だった人を無能にしてしまう典型例
「組織において人はおのおのその無能レベルまで昇進する」。ということは、「組織はいつかすべて無能な人々の集団となる」。
だから、賢いはずの人々の集団が考えられないようなヘマをしでかす。
無能レベルの手前で踏みとどまろう。そうすれば誰もが有能でいられる。世に「法則」は多いが、「ピーターの法則」ほど鋭い法則はない。
出典:amazon商品説明
さらには、記事に心理誘導のテクニックを使い、読者の検索意図、目的とは異なるアフィリエイトリンクをクリックさせていました。
[死にたい]でSEOされたwelq(運営:DeNA)の問題について
DeNAが運営するwelqが作成している記事が問題と指摘されていました。
「死にたい」というキーワードを検索されるとGoogleの1位に表示される記事で儲けようとしているようです。
Googleは、質の低いコンテンツの検索順位を下げる、圏外に追いやるといったアルゴリズムの変更を施したにもかかわらず、それが機能していなかったということですね。
その後Googleは日々進化しており、現在はコンテンツ重視の方針がより強化されたことで、良質な記事を目にすることが多くなったように思いますが…
Google が掲げる 10 の事実
Google がこの「10 の事実」を策定したのは、会社設立から数年後のことでした。Google は随時このリストを見直し、事実に変わりがないかどうかを確認しています。Google は、これらが事実であることを願い、常にこのとおりであるよう努めています。
1. ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
2. 1 つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
3. 遅いより速いほうがいい。出典、抜粋:Google 「Googleについて>10の事実
私見を含めたまとめ
私を含めたライター、企業でメディア運営をする人たちの共通認識として留意すべきことを少し考えてみたいと思います。
SEOやライティングテクニックを駆使することはプロとしては当然かもしれませんが、売ることのみを目的とした心理誘導型の記事は、書き手側だけの都合になってしまいます。
それではユーザーの事を本質的には何も考えていないことになってしまいますね。
とは言え、多かれ少なかれ、メディアというものは、広告であれ、ニュース、新聞、ワイドショー、特集番組、政見放送であれ、視聴者、読者の心理をたくみにコントロールしていることには違いがありません。
重要なことは、発信する側も受信する側も、主体的にその情報に向き合うリテラシーを持たないと、おかしなことになってしまう可能性とリスクを秘めているということです。
特に日本人は付和雷同的に流されがちな傾向は否めません。
「それは自分の考えである」「自分には必要あることだ」と錯覚したりする思考の偏り(思い込み)により、後に自己矛盾が生じたりすることがあります。
ですので、本質的問題を捉えるための思考の筋トレが必要だと考える今日この頃です。
FACTFULNESS(ファクトフルネス)
10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣ファクトフルネスとは――データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣。賢い人ほどとらわれる10の思い込みから解放されれば、癒され、世界を正しく見るスキルが身につく。
世界を正しく見る、誰もが身につけておくべき習慣でありスキル、「ファクトフルネス」を解説しよう。出典:amazon 商品説明より
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